図画工作部会 アートメタ認知(5年次)(2023年度 第86回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
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- 芸術・美術・音楽・図画工作
- 接続
- 探究力・活用力
- 社会情動的スキル
- てつがく
- コミュニケーションデザイン
- 対話的な学び
- 現代的な課題
- 主体性
- コンピテンシー育成
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- 校種・学年
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- 小学校
- 小1
- 小2
- 小3
- 小5
- 小6
- 校種間連携
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- 概要
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1 研究の内容
(1)研究テーマについて
本部会は,2019 年度より「アートメタ認知」という創作的概念を掲げ研究テーマの更新をした。ここでアートメタ認知の図を参照したい。「個人の頭の中に還元されている」という従来の「メタ認知」に対し「アートメタ認知」では,「複数性を伴う様々な他者に埋め込まれた」としてきた。
森田(2023)は,「『芸術作品の制作』を,頭の中の出来事ではなく,『物』を生み出す過程」,「人と人とが複数性を保持して共生する公共世界に位置し,人と人とをつなぎ—隔てる『介在物』であること」と指摘している。この森田の指摘は,これまで図画工作部が教科特性として重視してきた文字言語に偏らないことや手で触れて感じることなどが,お互いの制作過程が見えるアトリエ的学習環境によって促進されると考える際の理論的枠組みとなる。
その枠組で省察すると,個の頭の中に還元されるメタ認知に対し,アトリエやアトリエ的な環境で起きている,環境に埋め込まれた認知こそが図画工作特有の子どもの学びや認知であると考えた。そして,「身体性を発揮し,アトリエ的な環境や他者(モノ・コト・場・人等)に関わり,つくりながら,未知未感の対象をわかっていく」(小沼 堀井, 2019)というわかりかたを「アートメタ認知」と定義した。
昨年度は,その概念イメージを本校研究テーマ「学びをあむ」の主旨と関連させ,「アートメタ認知」と「メタ認知スキルや社会情意的スキルの育成」を統合し,「メタ認知スキル」と「社会情意的スキル」の概念が交差する領域に「アートメタ認知」が在るという気づきを整理して図3にまとめた。
また,「アートメタ認知」と学習指導要領が示す資質・能力を対応させ表1 のように示した。各項目がそのまま等価値に対応する概念ではなく,「メタ認知スキル」と「社会情意的スキル」の概念が交差する領域に「アートメタ認知」が在るとした「アトリエ的学習環境」で造形的思考が相互に,重層的に行き交うイメージへの着目をことわるためである。
(2)今年度の研究の重点
造形活動における,材料やその形や色に働きかける活動と,自分の表したいことをもとに実現していこうとする二つの活動は,授業者や他者からすぐに見える(目に入ってくる)「アトリエ的学習環境」では無意識の共同注視が往還する。そのため,個においても共同的な場においても自然発生的な相互交流が往還し,ここに働く造形的思考に「アートメタ認知」が埋め込まれており,図画工作の学びを“あむ”の実相の一つを見出すことができると考える。これまでの研究から,「アートメタ認知」の資質・能力(表1)は,材料との対話や行為を通して,その形や色などから思い付いた造形活動を行う「造形遊び」と親和性が高く,この「造形遊び」の場でこそ発揮されるのではないかと考えた。
出典:第86回教育実際指導研究会(2023年度)発表要項, p.74-79. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属小学校 小沼律子・堀井武彦
- 論文・教材本文
- 図画工作部会 「アートメタ認知」(2023年度 第86回教育実際指導研究会)
- 関連情報
- 図画工作部会 「アートメタ認知」の探究(2019年度 第82回教育実際指導研究会) 図画工作部会 アートメタ認知(4年次)(2022年度 第85回教育実際指導研究会)
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