投影図から立体模型を作ろう(中1 投影図)
- 教科・単元、キーワード
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- 算数・数学
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- 社会情動的スキル
- 対話的な学び
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中1
- 校種間連携
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- 概要
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本教材は,底面の正方形の1辺が6cm,高さが3cmの正四角錐の投影図から,展開図をかいて模型を作製するものである。できた立体模型は,6個を組み合わせると1辺6cmの立方体になり,円錐・角錐の体積の学習に用いることができる(大田,2022;藤原,2018)。本時では,右の主問題を取り上げる。
単純で簡単そうに見える主問題であるが, 底面の正方形に側面の二等辺三角形を4枚くっつけて展開図をかこうとすると,側面の二等辺三角形の高さが何cmになるのかについて考えるのが多くの生徒にとって難しいと予想される。実際には,側面の二等辺三角形の高さを,立面図の直角二等辺三角形の等辺の長さ(3 2 cm=約4.2cm)と等しくなるようにコンパスで移し取ることで展開図をかくことができる。しかし,上記の問題を単に生徒に投げかけると,次のような誤答が生徒から出ると予想される。
[予想される主な誤答]
・側面が4つの合同な二等辺三角形になることには気付くが,その二等辺三角形を立面図の直角二等辺三角形と合同なものとして展開図をかく。
・側面が4つの合同な二等辺三角形になることには気付くが,その二等辺三角形をどうかけばよいかわからず,とりあえず1辺6cmの正三角形として展開図をかく。
・側面が4つの合同な二等辺三角形になることには気付くが,その二等辺三角形をどうかけばよいかわからず,手が止まってしまう。
投影図における線分には実長を表さないものがある。上記の反応は,平面上に表現された図から空間図形を想像してその性質を読み取ることに課題のある状況といえる。本時の学習活動を通して,空間図形を平面上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を見いだすことができるようにしたい。
中学校学習指導要領解説数学編では,「空間図形を平面上に表したとき,もとの空間図形の性質が保存されていないこともある」ことについて,「指導に当たっては,平面上に表現された空間図形を読み取る際,見取図,展開図,投影図を目的に応じて相互に関連付けて扱うようにすることが大切である」(文部科学省,p.81)と述べられている。本時においても,立体模型を作製することを目的として,投影図,見取図,展開図を相互に関連付けて考察する機会を設ける(藤原,2022)。
ただ,このような学習の機会を設けたとしても,生徒は投影図における線分には実長を表さないものもあることへ理解が不十分で,正しく関連付けて考察できない可能性が高い。そこで,上記の問題を扱う前に右の導入問題を取り上げる。空間図形の教具「ポリドロン(東京書籍 フレームタイプ)」の正方形1枚と正三角形4枚のパーツ(1辺7.5cm)を用いて展開図から立体模型をつくり,視点を変えたり決めたりして模型を観察することにより,投影図における線分には実長を表さないものがあることについて,実感を伴って理解できるようにする。ここでは生徒が投影図をかいて,高さなどに着目して定量的に考察する機会としたいが,対象生徒を考慮して時間が足りないようなら,立面図の図形を定性的に考察する程度にとどめる。
なお,本時における主体的に学習に取り組む態度は,投影図の意味や導入問題を振り返ったり,立体模型を観察したりして試行錯誤しながら主問題に取り組もうとしている姿などに現れると捉えている。 - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 藤原大樹
- 論文・教材本文
- 学習指導案(授業後の板書などの画像あり) ワークシート
活用事例・コメント
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- 更新日時 2023-07-24 13:17:37
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