自己の健康や生活習慣と向き合うきっかけに―「人体実験レポート」の実践―(2014年度 高校研究紀要 第60号)
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- 概要
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本校の保健の授業は1、2年次に1単位ずつ行われる。保健は受験科目ではないものの、自らの健康について考え、理解するために必要不可欠な科目である。また、本校では医学・薬学系、保健医療系の進路を選択する生徒も多く、卒業後に保健の授業で学習した知識が活用される場面も大いにあるだろう。しかし、単に知識や技能を持ち合わせているだけでは健康的な生活を送り続けることはできない。知識や技能を自分の生活に取り入れたり、活用したりすることで自らの健康を保持増進していく姿勢が求められる。したがって、生徒が保健の授業で学習した内容を自身の実生活に反映していくことが大切である。とはいえ、保健の授業内容を生徒の日常生活に落とし込むという命題は指導者側にとって永遠の課題と言ってよいほど難しいものである。保健の評価方法の1つに筆記テストが挙げられるが、生涯を通じて健康的な生活を送れるようにするためには、テストだけの表面的な理解や確認だけで終わってしまうのでは実生活に結びついていかないし、結びついたとしてもおそらく継続していかないだろう。受験科目でない保健の学習において、いかにして学びの深まりや高まりを創り出し、授業と実生活との乖離をどう埋めて行くか、指導者側は考えていかなければならない。
学習指導要領では「健康を保持増進するためには、個人の行動選択やそれを支える社会環境づくりなどが大切であるというヘルスプロモーションの考え方を生かし、人々が自らの健康を適切に管理すること及び環境を改善していくことが重要であることを理解できるようにする。」と謳われている。つまり、“健康を適切に管理し、環境を改善していく”ことを実際に自分の生活に取り入れ、まずは実践してみることが重要であると私は考えている。
私の担当する1年生の保健の授業では、年度初めに健康や生活習慣に関するアンケート調査を行っている。それによると、生徒達の多くが様々な健康課題を抱え、お世辞にも望ましいとはいえない生活習慣を送っている現状が明らかになる。このアンケート結果をもとに「健康とは…」と教科書第1単元の『現代社会と健康』の授業に入っていくわけだが、果たして保健の授業における健康教育はそんな生徒達の抱える健康課題にどれだけ寄り添い、役立ち、生徒は学習した内容をどのように実生活に生かしているのだろうか。
それを知る手がかりとして、健康的な生活を“実践”することに焦点を当て、自己の健康生活や生活習慣・ライフスタイルに目を向けさせるために、そして自身の抱える健康課題を解決する手立てとして、「人体実験レポート」課題の実践に行き着いた。この課題は、前任校である東京学芸大学附属高校在職時から10年間にわたって継続して実施してきたものであるが、本論ではお茶高生における「人体実験レポート」への取り組みが生徒にとってどんな影響を及ぼしたのか、これまでの実践をまとめるとともに成果及び今後の課題と展望について報告する。
出典:2014年度 高校研究紀要 第60号, p.101-127.
- コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属高等学校 佐藤健太
- 論文・教材本文
- 自己の健康や生活習慣と向き合うきっかけに―「人体実験レポート」の実践―(2014年度 高校研究紀要 第60号)
- 関連情報
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活用事例・コメント
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