第3学年「化学変化とイオン」 <実験:電池の条件(おうち実験)>
- 教科・単元、キーワード
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- 理科
- 探究力・活用力
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中3
- 校種間連携
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- 概要
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学習指導要領における理科の目標には「自然の事物・現象に関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察・実験を行うことなどを通して、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次の通り育成する事を目指す。(後略)」(文部科学省、2017)とあるように、観察・実験を行い、そこから探究的な学びを展開することが前提となっている。
コロナ禍での理科授業の実践では、観察・実験の実施が困難であることが大きな問題である。その対策が具体的に見出せない中、年度初めの遠隔学習では観察・実験が比較的少ない単元「地球と宇宙」を扱うことにした。第 2 学年の「冬休み・入試休みの課題」として、既にオリオン座の日周運動と年周運動に関わる天体観測を行っていたこともあり、学習は比較的スムーズに行えた。遠隔学習が始まる前に、教科書を参考にして書き込めるプリントを作成・送付し、予習課題とした。5 月からの遠隔学習では、スライドに声を吹き込む形で動画を作成し、解説授業を行った。生徒は予習したプリントや教科書を用いながら Moodle 上の授業を視聴した。できるだけ解説が分かりやすいように、アニメーション機能を用いて順を追って説明するようにした。また、天体望遠鏡による黒点観察、透明半球による太陽の位置の記録、それを基にした太陽の動きや日の出・日の入りの時刻の推測の仕方、それらを生徒自らが取り組んでいると感じられるように、生徒目線で撮影しその動画を解説に用いた。さらに宇宙のダイナミックスさや美しさを実感させられるよう、あるいはシミュレーションや詳しい解説を視聴できるよう、さらに神話などで関心が高められるよう、JAXA や国立天文台、科学博物館、天文館等の関連サイトを調べ、情報を選択して URL を添付し視聴できるようにした。
6 月末から対面授業が始まり、新たに「化学変化とイオン」の単元に入った。第1章「水溶液とイオン」では、「電流が流れる水溶液と流れない水溶液」、「塩化銅の電気分解(第 2 学年で実施)」、「塩酸の電気分解」と 3 つの実験がある。前述の通り生徒目線で動画を撮影し授業で映像を示しつつ、泡の発生やにおいなど、動画では分かりにくい部分を解説した。第2章「化学変化と電池」では、電池の条件を学ぶ。例年行っている実験では、最初に銅板 2 枚、亜鉛板 2 枚、塩酸、プロペラ付きモーター、電子オルゴールを用いて 4 人の班で実験する。そこから同じ種類の金属板では電池にならないこと、銅と亜鉛では銅が+極になることを導く。続いて、銅板・亜鉛板を用いて、エタノール、砂糖、食塩、食酢、レモン果汁などの水溶液で電池になるかを調べさせ、電解質水溶液が電池になる条件に加わることに気づかせた。電気分解と異なり、金属板を用いて電池になるかを調べる実験は、生徒にとって初めての経験であり、是非体験させたいと考え、「おうち実験」と称して実験することにした。
そのため、第 2 章の最初に「電池の発見の歴史」を扱い、ボルタの電堆から「銅と亜鉛と食塩水とで電池になる」ことを最初に学んだ。そこで、「銅と亜鉛、どちらが+極か」を【課題1】とした。続いて、「食塩水以外でも電池になるかを身近な水溶液で調べる」ことを【課題2】とした。図1のような銅板と亜鉛板 1枚ずつ、クリップ付き導線赤・黒 1 本ずつ、電子オルゴール1つをチャック付きポリ袋に入れたものを生徒全員に渡した。銅板・亜鉛板を 2 枚ずつ配布しなかったのは、学年全員分を用意することは予算面から難しかったからである。 - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 薗部幸枝
- 論文・教材本文
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- 更新日時 2022-11-04 10:22:51
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