動き出すドキュメンテーション(1) ―保育者と保護者の関係と対話をキーワードとして―(2020年度 日本保育学会第73回大会 発表要旨)

教科・単元、キーワード
  • 保育
  • 接続
  • 対話的な学び
  • 主体性
コンピテンシー育成
校種・学年
  • 幼稚園
校種間連携
  • 幼稚園
  • 大学
概要

145年の歴史を持つ附属幼稚園の歴史的経緯をふまえて、現在のグランドデザインについて論じていく。
1.歴史に見るグランドデザイン「不易と流行」
本園は明治9年に創設された官営としては日本で最初の幼稚園である。当時の創設の意図は、〇幼稚園の模範を示すこと〇教育の発展を企画すること〇女子師範学校(のちのお茶の水女子大学)の学生の学びの場となることの3点だと言われている。現在でも、〇幼児教育の理論と実際に関する研究をする〇大学生にとっての保育、教育の実習と研究の場とする〇幼児教育の進歩向上に貢献するの3点をあげている。また、教育の考え方としては、創設当時と変わらず、子どもは遊びを通して多くのことを学んでいくことを保育を考える中心に置き、日々の生活を積み重ねている。保育の考え方の基本は変えない・変わらずに守り続けるべきこと<不易>としても、今、目の前の子どもたちやその時の社会の情勢など、時代時代に応じて変化すること<流行>により、保育のグランドデザインをその時々で考え改めていくという大前提をまずは押さえておきたい。
2.時代時代の教育課程から見えるグランドデザイン
平成2年の教育課程のあとがきに「過去から脈々と受け継がれてきた保育の心がある。これは今後もずっと引き継がれていって欲しいものであるとともに、その時代、その時に生活する子どもに合わせて新たなものと融合しあっていかねばならないと考える」と述べられており、「不易と流行」の考え方を的確に示されている。平成15年版は、年齢・時期ではなく、ステージという考え<「子どもの発達は、年齢で区切れるものではなく、行きつ戻りつしながら進んでいく」・「内容が先に決められていて、それに近づくように生活を組み立てていくのではない」「一人ひとりの今を充実させていくことを第1に考えた」>に基づき、編まれた教育課程である。令和3年度版は、横軸を学年、縦軸を「自分とのかかわり」「ひととのかかわり」「もの・こと(環境)とのかかわり」で示している。横軸を学年で分けたことは平成2年度版以来である。社会に広く問うためには学年で分けることでわかりやすくなること、3歳入園の時の接続や小学校への接続について考えやすくなったこと、それに伴い4歳、5歳への接続についても大事にしたい観点が明確化されたことなどの効果もあると考えている。
3.教育目標の改訂について
長い間本園の教育目標は〇からだが丈夫で元気がよい〇自分のことは自分でする〇友だちと仲よく遊ぶ〇ものごとにいきいきとした興味をもつ〇思ったことははっきり話し、人の話をよく聞く〇創意工夫したことを楽しんで表現する、の6つを掲げていた。子どもは自ら育とうとする力があり、大人が内容に合わせて目標に近づくようにさせるのではないという本質的な部分で、教育目標に違和感を持ったことから、子どもたちにどのような願いをもって保育の実践を行うのかを教員で考え直すに至った。子育てに戸惑い、不安のある親に育てられている子どもたち。情報の波にのまれてしまいそうな親子の関係。その中で、まずは「あなたはとても大事な存在である」と伝えたい。自分が大事にされていることを十分感じることで、周りの人のこと、環境のことも大事に考えられるようになっていく、そういう願いをこめて、〇自分を大切にする〇周りの人を大切にする〇環境を大切にする、という3つの願いをたてることにした。
4.まとめ
保育のグランドデザインを考えるにあたっては、〇入園前の実態を把握し、必要なことは前もって保護者に伝える〇保護者とは子どもを中心に置き語り合う〇わかりやすく丁寧に、子どもの姿や園の様子、研究のことを保護者に伝え、やりとりを重ねながら一緒にデザインする〇保護者同士の語り合いの場を設けそこで得た内容をカリキュラムなどに生かす、など、安心をキーワードに家庭と一緒に創り出していく、そういう時代になっていると思われる。教育課程や「子どもへの願い」も、保護者と子どもと園と考え合うその時間が大切なのだと考える。保育の考え方の基本は変えない・変わらずに守り続けるべきこともあるが、時代や目の前の子ども・保護者に合わせて柔軟に保育を考えていくことを大切にした。そして、まだまだ社会全部に開かれているわけではないが、保護者に開いたように、これからは、近隣地域から社会に向けて発信を続け、やりとりを重ねるような、結果ではなく過程を大切にするようなグランドデザインを考えていきたいと考えている。

出典:高橋陽子・小玉亮子・佐藤寛子(2020)「動き出すドキュメンテーション(1) ―保育者と保護者の関係と対話をキーワードとして―」日本保育学会大会発表要旨集, 73, p.K503-K504.

※本研究は、倫理的配慮に基づいて実施された。

コンテンツ担当者・著者

お茶の水女子大学附属幼稚園 髙橋陽子

論文・教材本文
動き出すドキュメンテーション(1) ―保育者と保護者の関係と対話をキーワードとして―(2020年度 日本保育学会第73回大会 発表要旨)

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  • 登録日時 2020-08-06 12:43:37
  • 更新日時 2025-03-19 16:30:42
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