環境に対する豊かな感受性を育む(3・4年次)(2011年度 幼稚園研究紀要)
- 教科・単元、キーワード
-
- 保育
- 探究力・活用力
- 対話的な学び
- 課題研究
- 主体性
- 校種・学年
-
- 幼稚園
- 校種間連携
-
- 幼稚園
- 大学
- 概要
-
【全文をご覧になりたい方は、お問い合わせください。】
お茶の水女子大学附属幼稚園は、「環境に対する豊かな感受性を育む」というテーマを設定して、平成20年度から継続して研究を行ってきました。本研究紀要は、このような研究の、 3、4年次の成果をまとめたものです。
このテーマの下に、 1、2年次は、主として園庭の自然環境と子どもたちとの関わりあいに焦点をあてて研究しました。3、4年次の研究は、園舎内部の空間に力点を置いています。園舎とその周辺のさまざまな空間が、どのように子どもたちに影響を与え、また子どもたちがどのようにそれを積極的に活用しているのかを明らかにしようという試みです。そして教員たちは、そのことによって子どもたちの自己表現の形成や他者との関わりの発展に手を貸して、それをでき得る限り高いところまで導こうと努力していることが明らかにされています。
この紀要には全部で30ほどの事例が集められ、そこから考察が発展しています。この事例のーつひとつが大変興味深いものです。ここには子どもたちのある日の日常の生活のーこまが切り取られて、たいへん生き生きと描かれています。教員たちは、日常の園児たちの具体的な行動を注意深く観察し、子どもたちの感情や行動をしっかりと受け止めて、そこからその子どもに応じた、あるいはその場面に応じた指示や対応を行い、子どもたちの意欲を引き出し、また成長させようとしています。
本園の園舎の構造は比較的単純で、玄関を入るとまっすぐに長い廊下が伸び、その突き当たりには、この園で最も広い部屋である遊戯室があります。この廊下はほぼ東西に伸びているので、廊下の南側に6つの保育室が並び、その北側には職員室、園長室、保健室などの部屋が並んでいます。しかしながら、一見単純な構造に見えても、実は、さまざまな空間があることがわかります。大きな空間、小さな空間、広い空間、狭い空間、長い空間、短い空間、誰からもよく見える空間、人目にあまり触れない空間、園舎の内部の空間、園舎の内部と外部とをつなぐ空間、よく慣れ親しんでいる空間、あまり行くことのない空間など、さまざまな空間があります。また同じーつの空間でも、扉を開けておくか閉めておくかによって、また衝立などで区切るか広々と使うかによって、全く違う機能が出現します。子どもたちは、この園舎のさまざまな空間を上手に使って自分たちの行動を広げ、また教員たちはこの多様な空間を最大限に活用して子どもたちの意欲を引き出しています。
本園の教育の理念(「教育の姿勢」)は、つぎのように明言されています。即ち、「幼児一人ひとりの思いに沿った生活の自然な流れを大切に考え、同じことを同じ時にどの子どもにも教え込むようなことはしていません。その時々に、一人ひとりに合わせた指導を行って、個々の子どもの興味や意欲、自ら考え行動する姿勢を育てようとしています」と。このような教育の姿勢が、本研究においてもはっきりと貫かれているのがわかっていただけるのでないかと思います。
出典:2011年度 幼稚園研究紀要 - コンテンツ担当者・著者
-
お茶の水女子大学附属幼稚園 宮里暁美・伊集院理子
- 論文・教材本文
- 【目次】 環境に対する豊かな感受性を育む(3・4年次)(2011年度 幼稚園研究紀要)
- 関連情報
- 環境に対する豊かな感受性を育む(1年次)(2008年度 幼稚園研究紀要) 環境に対する豊かな感受性を育む(2年次)(2009年度 幼稚園研究紀要)
この教材を閲覧したユーザーは以下の教材も閲覧しています
- 登録日時 2019-01-03 19:46:37
- 更新日時 2024-09-04 11:29:14
- ページビュー数 318回