体育部会 学校で体育をすることの意味(2年次)(2024年度 第87回教育実際指導研究会)

教科・単元、キーワード
  • 体育・保健体育
  • 接続
  • 探究力・活用力
  • 社会情動的スキル
  • 対話的な学び
  • 主体性
コンピテンシー
校種・学年
  • 小学校
  • 小1
  • 小2
  • 小3
  • 小4
  • 小5
  • 小6
校種間連携
概要

昨年度より新たなテーマとして「学校で体育をすることの意味」を掲げ、学校で行う体育とは一体何なのかを問い続けている。昨年度の要項でも触れたが、このテーマにおいて、学校体育の「真理」を問うものではなく、私たちなりに教育の責任を負うものとして学校体育の役割を検討し提案することが目的となっている。
教師一人ひとりが自らの体育観を問い、子どもたちとのかかわりを通じて子ども一人ひとりにとっての「学校で体育をすることの意味」について昨年度から改めて問い直す中で浮かび上がってきたキーワードが「エージェンシーベースの関係づくり」と「身体」であった。「エージェンシーベースの関係づくり」とは、子どもたち一人ひとりが学校の体育で取り組んでいる姿を表した概念である。「エージェンシーベース」とは、教師を中心とした権力に飼い慣らされない主体として自らの自発性にもとづいて学習を構想したり進めたりする実践構想である。学校教育制度に従属する中でも、子どもには自らの関心や他者・世界との関係から立ち上がる動機や問いに基づいて自発的に活動する自由がある。その自由において、子どもが自ら自分の身体や他者・世界との関係を築き、広げたり深めたりする学びを「関係づくりとしての体育」と意味付けた(昨年度発表要項参照)。また「身体」がキーワードとして挙げられるのは、多岐にわたる体育の学びにおいて改めて「身体」に着目したカリキュラム構想を検討することが求められると考えるからである。
ここでいう「身体」とは、「心的な生を含む私を包んでいる世界と分かちつながる一定の空間を占める人間存在」とする。この「身体」の位置は、世界との関係において思想的にも実態としても大きく変化してきている。現在では、ポスト・ヒューマン時代と呼ばれ、人間中心主義的な身体観から世界の中に位置づく身体へと転換し、人間の身体とモノがフラットな関係(フラット・オントロジー)であることが自明となりつつある。子どもたちを含む現代の私たちの身体は、すでにモノありきの身体であり、かつてダナ・ハラウェイが「サイボーグ」と述べた身体が現実化していると言える。だからこそ私たちは、主体とは何かを問い続けるとともに一生付き合っていく自らの身体について知る必要があり、身体「の」(対象としての身体)「との」(ともにあるものとしての身体)「に・を通じた」(装置・感覚としての身体)学びなどが求められるのである。これまでの<体育>が仮にも学校教育において身体を対象としていたならば、このような状況下で改めて「身体」に視点を置き、学校全体での体育と体育科のあり方を問うことも求められるであろう。
こうした問い直しに基づき、今年度以降検討することが求められるのは、本校における「身体」にかかわる学びの全体像と特化して取り組まれる<体育>の時間のカリキュラム構想である。

出典:第87回教育実際指導研究会(2024年度)発表要項, p.84-89.

コンテンツ担当者・著者

お茶の水女子大学附属小学校 江部紀美子・神谷潤・神﨑芳明・和氣拓巳

論文・教材本文
体育部会 学校で体育をすることの意味(2年次)(2024年度 第87回教育実際指導研究会)
関連情報
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  • 登録日時 2025-07-07 14:53:23
  • 更新日時 2025-09-09 10:32:38
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