第4学年「体育」学習指導案「「とぶ」―思い通りにならない身体であそぶ―」(2024年度 第87回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
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- 体育・保健体育
- 探究力・活用力
- 対話的な学び
- 主体性
- コンピテンシー
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- 校種・学年
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- 小学校
- 小4
- 校種間連携
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- 概要
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頭ではわかっていても身体が言うことを聞かず,自分の身体ではないみたいだと感じた経験はないだろうか。例えば,もっと速く走りたいのに足が上手く動かなかったり,発表会が迫ると緊張して身体が震えたり,病気になると身体が重く感じたりといった具合だ。そう考えると,わたしの身体は,わたしの一部(もしくはわたしそのもの)であるにもかかわらず,思い通りにならないというもどかしさが生じる。この身体の不自由さに着目し,今年度の4年生は,「思い通りにならない身体」をテーマに,「身体を知る」ことを目的として体育を展開してきた(体育部提案参照)。例えば,自転車に乗れない人が,うまくバランスが取れなくて試行錯誤を繰り返す。そのうち,こつを掴んでくると,こつを意識しなくても,無意識的に自転車に乗れるようになる。このように,身体は,思い通りに動いているときには知覚されず,むしろ思い通りに動いていないときに自分の中に現れる。そうして現れた身体を思い通りに動かしていこうとすることが,「身体を知る」ことにつながると考えた。
今回は,「とぶ」をテーマとした。ここでの「とぶ」は「足で跳んで足で着地すること」と定義する。そうした制約の中で,子どもたちは,遠くへ跳んだり,高く跳んだり,連続で跳んだりする中で、「思い通りに跳べない」ことをきっかけにして身体が現象し,「どのように身体を動かしたら跳べるのか?」について考えていくことになるだろう。身体の動きは,自分で狙った動きと,実際の動きとの間には差が生じるものだ。さらに,自分の動きをリアルタイムで確かめながら,動くことは難しい。そうした中で,【動く-ふり返る-動く】を繰り返し,立ち止まり,考えながら自らの身体感覚に意識を向けて修正していく。また,自分の身体の現れについて,他者に意見を求めたり,ICT 機器で録画したりすることで,イメージとリアルの差を埋めていくこともある。様々な学び方を自分自身で選択しながら,異質な他者とともに互いに影響を及ぼしあい,自分の思い描く理想の「とぶ」を探究していく過程の中で「身体を知る」ことに迫っていく。
「とぶ」の場は,子どもたち一人ひとりがそれぞれの必要感のもと準備する。あらかじめ教師が意図して設定した場で,子どもたちが遊ばされることがないようにするためである。「身体を知る」過程の中で,自己-他者-モノと自ら関係をつくっていくこと(エージェンシーベースの関係づくり)が,体育の時間で最も大切にしている視点である。その中で,教師は子どもたちの活動を見守りながらも,子どもを追い越さず,子どもとともに探究していくのである。
出典:第87回教育実際指導研究会(2024年度)発表要項, p.112. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属小学校 和氣拓巳
- 論文・教材本文
- 第4学年「体育」学習指導案「「とぶ」―思い通りにならない身体であそぶ―」(2024年度 第87回教育実際指導研究会)
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