政治的教養を培う中学校主権者教育授業の開発 ―政権公約づくりと模擬投票を通して―(2023年度 中学校研究紀要 第52集)
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- 概要
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本稿の目的は、中学校社会科公民的分野において生徒たちが政治的教養を培うことを通して主権者としての意識を高め社会参画する力を養う授業デザインを提案することである。その有効な学習として政権公約づくりと模擬投票に着目し授業開発を行った。
在学中に選挙権を得る高校生とまだ投票権がない中学生とでは自ずと主権者としての意識に開きがあり中学生の発達段階に応じた主権者教育のスタイルを創り上げる必要がある。投票率を上げることを目的として投票行動に重点を置く啓発的な学習よりも社会の形成者としての意識を高める学習が有効であると考える。
主権者教育を進めるにあたり留意すべき点が政治的中立性の確保である。特に影響力が大きい授業者と生徒との関わりにおいて生徒一人一人が自分自身の政治的な考えを制限されることなく自由に表明できる環境をつくる必要がある。そのためには現実の政治を公正に批判する力を養うとともに異なる考えを持つ仲間と協働しながら合意点を見出し意思決定する学びの蓄積が必要である。
このような考えに基づいて構想したのが架空の政党を立ち上げ政権公約をつくり相互に 投票する機会を取り入れた授業である。生徒たちは最初に現実の政党の政権公約を読み合い各政党がどのような点に力を入れているか比較した。次に自分たちで政党をつくり 政党ごとに党首や政党名を決め、国の5つの課題を解決するために、どこに重点を置くべきか大方針を定めた。各政党は大方針に基づいて予算を5つの課題に配分し、円グラフで予算案を示した。また、その予算案に基づいて課題ごとに政権公約を作成し、1枚のスライドにまとめた。そして学年全員でGoogle Formsを通して支持したい政党を選ぶ模擬投票を行った。また、5つの課題に対する政権公約に対しても投票を行い、各部門の最多得票獲得公約も同時に選出した。さらにそれぞれの選出理由についても一緒に提出することとした。
生徒たちの裁量に任せることで、自ら新しい国づくりに向けて何が必要か考え、創造的に課題解決しようとする姿勢が顕著に見られた。生徒たちが書いた投票理由を分析すると、現実の政治的事象にあてはめたり、引用・参照したりして述べる記述が目立った。本実践を通して、自分の考えに固執するのではなく、他者と対話しながら今までに無い気づきを得たり、新しく提起したりする経験が、政治に参加し、公の事柄に影響を与えたいと考える意思につながったと感じる。
キーワード:主権者教育 政治的教養 模擬政党づくり 模擬政権公約づくり 模擬投票
出典:2023年度 中学校研究紀要 第52集, p.1-15.
- コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 寺本誠
- 論文・教材本文
- 政治的教養を培う中学校主権者教育授業の開発 ―政権公約づくりと模擬投票を通して―(2023年度 中学校研究紀要 第52集)
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