第5学年「理科」学習指導案「ものの溶け方の研究~「ものが水に溶ける一瞬」を確実にとらえる研究~」(2016年度 第79回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
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- 理科
- 探究力・活用力
- 社会情動的スキル
- 対話的な学び
- 主体性
- 校種・学年
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- 小学校
- 小5
- 校種間連携
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- 概要
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5年「ものの溶け方」の単元で考えさせたいこととして,指導要領では以下の3点をあげている。(ア)物が水に溶ける量には限度があること。(イ)物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違うこと。また,この性質を利用して,溶けている物を取り出すことができること。(ウ)物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないこと。これらを目の前で起きる事実から考えさせるために,食塩,ミョウバン,ホウ酸などの薬品を,水に溶かして確かめる・・・といった実験が行われている。
例えば,10gの食塩を100gの水に投入して攪拌すれば,水温とは無関係に確実に溶解する。たとえ攪拌しなくとも,長時間観察を続ければ結晶は溶解し,いずれは容器全体の水溶液が均一な濃度になる。しかしこれで「ものが水に溶けるという現象」を観察したことになっているだろうか? 確かに,ものが水に溶ける前と,溶けた結果の比較はできている。「溶ける(溶解)」とは,少々乱暴な言い方をすれば,目に見える大きさの物質(溶質=化合物の結晶)が,水(溶媒の一種)と一体化して,目には見えなくなることである。従来の実験では,その最も肝心な「ものが水に溶ける一瞬」を見逃していたのである。
「ものが水に溶ける一瞬」を観察させるには,いくつかの方法がある。今回の実践では,「ものが水に溶ける一瞬」を確実にとらえるために,顕微鏡での観察方法を,各研究所(生活班)に考えさせようと思っている。いわば,観察方法の研究である。今回はあえて単元の最後で独立させて扱ってみることにした。一通り,単元の内容を理解した上での,発展的な扱いである。「ものが水に溶ける一瞬」を,顕微鏡下で結晶が小さくなって消えてゆく様子を中心に,時間をかけて探求させる。その中で「溶けるという現象」の本当の姿,「混ざることとのちがい」をしっかりと実感させたいと考えている。
個々が持っている探究心は,小さな学びの渦,小さな知との出会いとも言える。変化の一親を観察させることは,学びの渦を巻き起こし,新しい知との出会いの機会を得る,優れた方法のーつだと,私は考えている。教師は,その渦を成長させる,良きファシリテーターでなければいけない。
出典:第79回教育実際指導研究会(2016年度)発表要項, p.90. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属小学校 田中千尋
- 論文・教材本文
- 第5学年「理科」学習指導案「ものの溶け方の研究~「ものが水に溶ける一瞬」を確実にとらえる研究~」(2016年度 第79回教育実際指導研究会)
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