中学校国語科における生成AIを活用した授業の開発〜学習者とAIの判断の差異に着目した理解と表現の学習指導を通して〜(全国大学国語教育学会第145回信州大会 2023年度)
- 教科・単元、キーワード
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- 国語
- 探究力・活用力
- ICT(情報通信技術)
- 対話的な学び
- 現代的な課題
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中2
- 校種間連携
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- 概要
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研究の背景と目的
AI技術の進展、特に自然言語処理技術の進歩により、教育分野での活用が注目されています。本研究は、生成AI(特にChatGPT)が中学校の国語教育においてどのように効果を発揮し、学習者の判断力や表現力を向上させるかを探ることを目的としています。
研究方法
本研究では、生成AIのChatGPTを使用し、以下の4つの類型で国語教育への活用を検討しました:
1. 教師が操作し、教師が生成物を利用する
2. 教師が操作し、学習者が生成物を利用する(本研究の主要対象)
3. 学習者が操作し、学習者が生成物を利用する
4. 学習者が操作し、教師が生成物を利用する
研究内容
1. **生成AIの基本活用法**:
- ChatGPTのプロンプトの構成要素と基本的な使用方法を整理。
- ChatGPTを国語教育に活用する具体的なプロンプト例を列挙。
2. **生成AIと人間の比較**:
- ChatGPTは「分析」「評価」「創造」の高次認知活動で優れた能力を発揮する一方、「想起」のような低次認知活動では精度に問題があることが確認されました。
- ChatGPTの判断過程を人間と比較することで、学習者の批判的思考を育む手法が提案されました。
3. **授業実践例**:
- **詩の読解**:「春よ、来い」を題材に、ChatGPTによる解釈と生徒の解釈を比較しながら学習を進める授業。
- **随筆の創作**:「枕草子」を題材に、生徒が感じた「かわいらしいもの」を文章に表現し、ChatGPTによる生成物と比較する授業。
結果と考察
1. **異なる視点の提示**:
- ChatGPTは人間とは異なる視点からの解釈を提供することで、生徒の創造的な発想を刺激しました。
2. **広範な知識の提供**:
- ChatGPTは膨大なデータから学習した知識を基に、詩や文章の深い理解を助ける情報を提供しました。
3. **批判的思考の促進**:
- ChatGPTの解釈と生徒の解釈を比較することで、情報を批判的に捉える学習姿勢が育まれました。
結論
生成AIを活用することで、学習者の判断力と表現力の向上が期待できることが示されました。特に、AIの判断過程を批判的に検討することで、より深い学びが促進されることが確認されました。
補遺
文部科学省の「生成AIガイドライン」を生徒がどのように読んだかについても考察されています。
出典:2023年度 全国大学国語教育学会第145回信州大会
- コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校
- 論文・教材本文
- 中学校国語科における生成AIを活用した授業の開発(全国大学国語教育学会第145回信州大会 2023年度)
- 関連情報
- 関連教材「AIと読む「春よ、来い」」
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