空間図形の総合的な考察(中3 空間図形・課題学習)
- 教科・単元、キーワード
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- 算数・数学
- 探究力・活用力
- 対話的な学び
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中2
- 校種間連携
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- 概要
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中3の卒業期に2時間扱いの課題学習として本時を設ける.平成29年告示中学校学習指導要領解説数学編p.174に,「生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決する」課題学習を,「各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする」とある.
中学校数学科の内容を学習し終えた卒業期では,単なる反復練習のみならず,生徒の新たなステージに向けて,既習事項,実物,数学的表現,アプリなど生徒が使えるものを総動員して問題発見・解決に自立的・協働的に挑む授業を設け,数学のよさを改めて実感できるようにしたい.空間の豊かな感覚や新たな見方につながる本時の経験は,結果的に入試等でも生かされるはずである.
本時の主張
(1)空間観念の育成
空間観念の育成を目指し,授業の冒頭では念頭操作から始め,解決に向けて必要に応じて,具体物や平面の図などの操作,観察により,空間と平面の活発な行き来のある思考を促す.問題(1)で見取図,問題(2)では展開図が活躍する.
また,生徒同士の対話とノートへの記述を重視し,上記の操作,観察を通した生徒同士の疑問,予想,発見,検証の連鎖を引き出したい.
(2)問題発見と総合的な考察
生徒の問題の発見と焦点化・深化に向けて,授業の冒頭で教師はわざと曖昧に問いかけていく.対話により,生徒はまずは切り口の図形を気になり始め,その後そのまわりの長さや面積のことが気になっていく流れをつくる.数量が変わるのか変わらないのか,変わらないならばいくつになるのか,変わるのならばどのような変わり方をするのかなど,既習事項や立体模型,平面の図,アプリなどを使って,領域内・領域横断で総合的に考察する機会を設ける.
なお,本時では校内にある廃棄の封筒を一人1枚ずつ配る.これを折って正四面体の模型を作ったり,切り口をかいたり切ったり,折りたたんだりして操作,観察することで問題(2)の結果の見通しが得られる.
(3)新たな関数との出合い
特に問題(3)では,空間図形の性質について思考を深める中で,図形の中に潜む新たな関数(二次関数)と出合うことになる.二次方程式の導入の問題で似た関数を扱った場合には,その授業のノートを開いて関連付けるのもよい.表のyの値の第1階差やグラフの概形などから,二乗に比例する関数との共通点を見いだす生徒も予想される.未知なる関数の特徴を捉えるときの表,式,グラフのよさを,再実感する機会となろう. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 藤原大樹
- 論文・教材本文
- 日本数学教育学会第8回中学校授業づくり研究会当日冊子(提案)
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- 更新日時 2023-06-22 21:11:47
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