中学校社会科歴史的分野における法教育教材の開発 ~応天門の変を題材に~
- 教科・単元、キーワード
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- 社会・地理歴史・公民
- 探究力・活用力
- 校種・学年
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- 中学校
- 中1
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- 中3
- 校種間連携
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- 概要
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本稿の目的は、生徒たちが過去の歴史的事象を深く理解し、現在に起きている様々な課題を解決 するよう認識を深めるには、根拠に基づいて価値判断・意思決定するような、歴史的思考力を培う学習機会を設けることが必要であり、その方法として、歴史的事象を法的な視点で捉えることを目的とする歴史学習が有効であることを明らかにするものである。
本時では特に、『伴大納言絵巻』を題材に、平安時代の歴史的事象や時代背景を理解させるとともに、生徒が事件に対する自分なりの解釈を通して、根拠に基づいて意思決定させる機会を設定した。最初の課題として生徒を時の最高権力者藤原良房の立場に立たせ、この事件をどのように解決するか考えさせ、当時の判断と比較させた後に、「なぜ伴善男は有罪となったのか」という問いを提示した。さらに、単元全体を通した課題として「平安時代になぜ藤原氏はこれだけの権力を持ち 続けたのか」という問いを示唆することとした。この課題は本単元を終えた後、平安時代とはどのような時代であったのか振り返らせるために用いたいと考えて設定した。 過去の歴史的事象を、近代の法の構成要素である、公正、正義、権威といった概念に基づいて価値判断し、判断基準や根拠を明確にして伴善男が有罪と言えるかどうか意思決定する活動まで進むことが出来たのは本実践の成果であると捉えている。生徒たちは法を通して平安時代の社会への認識を深められたと捉えているが、法的な思考と歴史認識との相互関係について実証するには、他の歴史的分野における実践の蓄積が必要である。 - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 寺本誠
- 論文・教材本文
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- 登録日時 2018-12-28 15:07:13
- 更新日時 2022-10-31 13:47:48
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