ベースボール型球技
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- 概要
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本単元では、ベースボール型球技の教材として「三角ベース」を扱う。
ベースボール型球技は、バットの操作による打撃と走塁による攻撃とボール操作と定位置での守備を規則的に交代しながら、一定の回数内で相手チームより多くの得点を競い合うゲームである。この球技を扱う際には、投げる・捕る・打つといった技能が問題にされ、その技能が身につかないとゲームが成立しないと捉えられがちである。また、そのような捉えから、授業の焦点が打つ楽しさや投げる・捕る技能の達成に向いてしまうことも見受けられる。確かにそれらの技能はゲームを成立させる上で重要な要素の一つではある。だが、ベースボール型球技は、攻撃側の走者(走塁)が早いのか、守備側の協力したフィールディングが早いのかを特定の塁上で競い合うところにゲームの構造の中心がある(岩田,2011)。したがって、生徒の学びも走塁と送球の速さを競うところが中核とならなければこの球技の特性を味わうことにはならない。本単元では、技能自体の難しさや技能差といった課題がある中でも、生徒が今持っている力でゲームを楽しみ、単元の序盤からゲームを通してベースボール型球技の特性を味わいながら技能やゲーム理解を深めていくことを目指し、戦術的気づきや戦術理解に焦点を当てた授業を展開した。
ベースボール型球技は、「走塁と送球の速さを競う」ことが追究すべきテーマであるが、その競い合いに向けて攻撃と守備の双方に戦術的課題がある。その中でも特に守備側のプレーに関しては、アウトカウントや出塁状況などにより、必要となる状況判断が極めて複雑となる。そこで本単元では、守備の状況判断に焦点化したゲームを設定し、単元序盤から守備に関する戦術的課題を焦点化しながら段階的・系統的に学習することをねらった。また、生徒が今持っている力でゲームを楽しむことができるよう、技能に関する障壁を低くするために、バッティングティーや柔らかいウレタンボールの使用、テニスラケットやプラスチックバット、ティーバットなどの打撃力に応じた用具の工夫、ベースの数を三つに減らすことを工夫し、三角ベースを教材化した。
そして、生徒が守備の状況判断について思考しながら主体的に学習を深めていけるように、毎時間の形成的な振り返りの機会と授業の中でのThink-Doの往還を意識し、動いたら協働的に考えすぐに次の実践につなげてみることを大切にしたゲームの間に振り返りを挟むサンドイッチ方式の振り返りの機会を設定して単元を編成した。これらの振り返りの活動を通して生徒に学習した内容や考え方、取り組み方を捉えさせながら、学習が系統的に積み重なっていくことを意図すると共に、教師も生徒の学びの状況を見取りながら生徒を支援したり、次の学習内容を改善したりすることに役立てた。詳細は単元計画を参照されたい。本単元で計画した学習課題とルール、場づくりについては以下に示す。
<提示した守備の課題>
①「ボールをアウトゾーンに素早く戻すには?」
バックホームゲーム1⇒トライアングルの1 塁のみを使用。バッターはティーのボールを打ったら1 塁を回り、ホームベースへ帰ってくる。ホームベースに帰るのが早いか、送球が早いかを競う。また、バッターは、自分の打球に応じて、直線上の6m/12m/18m に設置された1 塁ベースのうちどこを回るかを判断する。守備の返球はホームから6m のトライアングルゾーンへ。
②「アウトベースにチームで素早くボールを運ぶには?」
バックホームゲーム2⇒トライアングルのコートにアウトベースを一つ設置。バッターはティーのボールを打ったらトライアングルを回る。進塁できたベースの数が得点。守備は、ホームベース前のアウトベース(フラフープ)に返球。
③「アウトベースが三つに増えたらどう守る?」
三角ベース1⇒トライアングルのコートにアウトベースを三つ設置。バッターはティーのボールを打ったらトライアングルを回る。進塁できたベースの数が得点。守備は、バッターの進塁状況に応じて1塁・2 塁・ホームのいずれかのベースを選択して返球。先回りアウト制。
④「ランナーがいたらどこに送球する?」
三角ベース2⇒トライアングルのコートにアウトベースを三つ設置。攻撃側は、常にランナー1 塁の状況から打撃を開始する。進塁したベースの数が得点。守備は、バッター・ランナーの進塁状況に応じて1 塁・2 塁・ホームのいずれかのベースを選択して返球。先回りアウト制。バッター・ランナーの二人をアウト(進塁できない状態)にするまで返球をする。
<主なルールや場づくり(三角ベース2)> - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 佐藤吉高
- 論文・教材本文
- R3公開研 保健体育科提案授業実践報告
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- 登録日時 2021-10-22 13:04:01
- 更新日時 2022-10-17 17:50:28
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