第2学年「中国・四国地方~町おこし・村おこしプロジェクト~」
- 教科・単元、キーワード
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- 社会・地理歴史・公民
- 探究力・活用力
- ICT(情報通信技術)
- 現代的な課題
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中2
- 校種間連携
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- 概要
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本報告では、中学校学習指導要領地理的分野の内容C(3)日本の諸地域「中国・四国地方」の実践を提案する。中国・四国地方は工業地域が分布する瀬戸内海沿岸には、 都市が点在し人口が集中している。一方で、南四国や山陰地方では、人口の減少と高齢化が進行し続ける過疎化が大きな課題となっている。しかし過疎地域の中には、様々な課題を克服しようと、観光開発に力を入れたり新たな特産品の生産・販売に力を入れたりするなど、地域の特性をいかした町おこし・村おこしに取り組んでいるところもある。
人口が都市部に集中し過密化が進む一方で、地方では人口の流出が進み、過疎化が課題となっている事例は全国各地でみられる現象である。過密地域での生活が日常となっている本校の生徒たちにとって想像しがたい状況であるが、人口減少、少子高齢化の問題は将来必ずや自分たちの生活に大きな影響を及ぼす。どこか遠い地域の問題ではなく、自分事として切実性を持って取り組むべき問題であることを認識させることに主眼を置いて中国・四国地方の学習に臨ませたいと考えて本授業プランを考えた。
本単元 の学習内容を、人口や都市・村落を中核とした考察とし、「過疎地域ではどのように地域づくりを進めていけばよいのだろうか」という学習課題を設定した。人々の生活・文化や 産業などに関する事象と関連付け、人口や都市・ 村落が地域の人々生活・文化や産業などと深い関わりがあることを学び、その上で、他地域の事象やそこで生ずる課題を関連 付けて多面的・多角的に考察させる。そして、その考察に基づいて各自で中国・四国地方から一つずつ自治体を選び、過疎地域を活性化するための町おこし・村おこしプランを考案し提案することを最終目的とした。
東京に住む中学生にとって、中国・四国地方は最も縁遠い地域である。単元の最初に中国・四国地方に行ったことがあるか生徒たちに尋ねたところ、ほぼ全員が訪れたことが無いことが分かった。前提となる知識や経験が少ない中、本校生徒が現地では深刻な過疎化の問題について、切実性を持って考えることは難しいと考え、約3か月半の長期的な学習計画を立てて取り組ませることとした。前半の4時間では人口や都市・村落を中核として、中国・四国地方の地域的特色や物資や人々の移動の特色や変化、それに伴う地域の変容について学習した。後半の4時間は日本の諸地域学習の中の他地域の学習と並行しながら、2週間に1回程度の割合でプロジェクトを進めた。授業と授業との「間」を設けることにより、生徒たちに調べ直し・考え直しの必要性を生み出し、次の授業までに「自分なりに動いてみたい」という、追究への意欲を生み出すことができた。さらに追究の意欲を盛り立てる環境設定として、地域活性化を研究する大学の専門家、お茶の水女子大学教授、同附属学校の社会科系教科の教員にも加わっていただきながら、評価の視点を明示した上で生徒一人一人が考えた町・村おこしプランをコンテスト形式で競わせる形式をとることとした。 - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 寺本誠
- 論文・教材本文
- R3公開研 社会科提案授業実践報告②
活用事例・コメント
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- 更新日時 2022-10-31 13:47:28
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