標本の大きさによる標本平均の分布を探ろう!(中3 標本調査)
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1 本研究のねらい
中3「標本調査」は,中学校での統計学習の出口であり,高校での推測統計への入口である.高校では小中より数学的な側面が高度になり,確率・統計の数学的な考察が増えるため,中3では数学的な事象における統計的問題解決の授業を充実する必要性があると考える.そこで本研究の目的を「数学的な事象における統計的問題解決の授業に関する有効な手立てを見いだすこと」とする.そのために,1人1台端末環境を生かした授業を計画・実施し,生徒の成果物等から考察・検証する.
2 授業の計画
例えば教科書には,標本の大きさによる標本平均の分布の傾向を比較する問題が載っているが,問いが抽象的で,生徒によっては意欲がわきにくい.そこで本研究では,上記の問題の結論を第1時で得た後,「本当だろうか?」と授業者から問いかけ,第2時で実際に標本調査をして自分なりに結論を出したり,第3時で他者の結論と比較して意見交換したりする授業展開を計画した.問題は藤原(2018)による.また,活動の重点を生徒自身の考察と表現に置くため,様々な手間の効率化を図る.標本調査の効率化のため,表計算ソフトのINDEX関数とRANDBETWEEN関数による,疑似乱数を用いたシミュレーションを行う.統計処理の効率化のため,標本平均のデータを学習用の統計ソフト(statlook,SGRAPA)に入力して表示する.分布の傾向の比較と記録の効率化のため,プレゼンソフトをワークシート代わりに用いる.
なお,第2時で生徒自ら箱ひげ図を活用できるよう,本単元の直前に「四分位範囲・箱ひげ図」単元を指導し,各種ソフトの使用を経験させた.
3 授業の実施と検証,今後の課題
都内国立大学附属中学校3年生1クラス(男女24名)を対象に,令和2年10月に筆者を授業者として実施した.その結果全員が箱ひげ図を含めた複数の統計的表現等を用い,「標本の大きさが大きいほど標本平均は母集団の平均値に近い値をとることが多くなる」などの結論を批判的に見いだした.上記の手立ては有効に働いたといえる.一般校での検証などが今後の課題である.
[引用・参考文献]
藤原大樹(2018).「単元を貫く数学的活動」でつくる中学校数学の新授業プラン.明治図書.156-157.
- コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 藤原大樹
- 論文・教材本文
- 第103回全国・算数数学教育研究(埼玉)大会 当日発表資料
- 関連情報
- シミュレーション用のスプレッドシート 無料で使用できるいろいろな統計ソフト 日本科学教育学会年会論文集45 掲載論文
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