第4学年「てつがく」学習指導案「共に深める」(2018年度 第81回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
-
- 総合的な学習・探究の時間
- てつがく
- 校種・学年
-
- 小学校
- 小4
- 校種間連携
-
- 概要
-
(1)聴き合う関係の構築とセーフティな空間づくり
子どもたちは、昨年度よりてつがく対話を重ねてきたものの、クラス替えがあり、1学期の当初は聴き合う関係が築けていなかった。サークル対話をしても、各々が自分の話したい事を話すだけであったり、異なる意見には真っ向から非難する姿も見られたりして、「対話」として成り立たない場面もしばしば見受けられた。そこで、聴き合う関係を築いていくために、話し手の意見を最後まで聴くことを、他教科の授業でも徹底していった。
最後まで聴くことにより、情報がより正確にキャッチでき、逆に自分の考えとの差異が浮き彫りになっていくことのおもしろさや、話し手の考えを表面的に聞くのではなく、話し手の想いや文脈に合わせて理解をしていくことの大切さに、子どもたちは気づいていった。こうして、てつがく対話を重ねていくと、段々と子どもたちの表情が柔らかくなり、肩の力も抜けて、和やかな雰囲気がつくられていった。発話率も増え、発言の内容も友だちの考えに関連させながら、問いを紡いでいくようになったり、問いそのものに焦点を当て吟味したりする子どもの姿が見られるようになった。このような子どもの対話の変化は、4年生になって初回の「てつがく」の授業で考えた「てつがくするってなに?」について適宜振り返ったり、p4cの『哲学者の道具箱』を参考とした「4-2‘てつがく‘の道具箱」を対話に用いたりしてきたことが、子どもたちのなかにじんわりと広がってきているのだと考える。
(2)単元について ~子どもが創る 子どもと創る~
これまで、子どもたちの素朴な疑問や問いをもとに授業を進めてきた。また、本学級の子どもたちは、ある大きなテーマから関連する問いを決めていくというプロセスがある。例えば、1学期は「ふつう」という漠としたテーマから、「当たり前ってなんだろう」「見えるってなんだろう」「もし色がなかったら」「透明は色なのか」のように、対話や思考の変容に伴って、問いが更新されていった。3学期は、子どもたちは「時間」というテーマを設定し、「人はなぜ忘れるのか」という問いから対話が始まっていった。対話が続いていくと、「‘忘れること’と‘忘れないこと’の違いはなにか」、「記憶の容量は決まっているのか」など、問いが変化している。
本時でも、子どもたちの気持ちや想いに寄り添い、教師自身も探求の共同体として対話に身を委ねつつも、「真に聴く」ことを意識し、共に考え深める「てつがく」にしていきたい。
出典:第81回教育実際指導研究会(2018年度)発表要項 p.101
- コンテンツ担当者・著者
-
お茶の水女子大学附属小学校 野萩孝昌
- 論文・教材本文
- 第4学年「てつがく」学習指導案「共に深める」(2018年度 第81回教育実際指導研究会)
この教材を閲覧したユーザーは以下の教材も閲覧しています
- 登録日時 2019-06-10 11:18:13
- 更新日時 2024-06-19 15:09:21
- ページビュー数 289回
