第1学年「国語」学習指導案「どうあらわそうか」(2018年度 第81回教育実際指導研究会)

教科・単元、キーワード
  • 国語
  • 探究力・活用力
  • 社会情動的スキル
  • てつがく
  • 対話的な学び
  • 主体性
コンピテンシー
  • 総論・コメント
校種・学年
  • 小学校
  • 小1
校種間連携
概要

◯聴き手に伝えることを意識して話す。発表者の伝えたいことを考えながら聴き、応答する。
◯発表者の伝えたいことを意識しながら共同推敲し、よりよいことばや表現を考える。
この学習は、前時でサークル対話「つたえる」を行った後、そこでの対話を生かして学習を展開しているものである。前時で行うサークル対話「つたえる」は、子どもたちが一つの輪になって座り、生活の中で見つけたことや感じたこと、興味をもったことなどを語り合い、聴き合う学習活動である。そこで発表されたものから、皆で良いと思う話題を一つ選び、この学習を進めている。実際の学習の進め方としては、選ばれた話題を板書し、それを子どもたちと声に出して読みながら、発表者の伝えたいことが表されるように文章にし(共同推敲)、最後にノートに視写するといった流れで行っている。ノートに視写する際は、子どもたちが思い思いに挿絵を入れ、レイアウトを考えながらまとめている。
 共同推敲をする際に大切にしていることは、皆で選んだ話題を話し手が伝えたかったことに寄り添いながら、より伝わりやすい文章にすることである。ここでは、話しことばが書きことばになるとどうなるかを考えることになるのと同時に、書きことばを考えることを通して話しことばを考えることにもつながっている。話したことば、表現したことばを通して、ひらがなやカタカナ、漢字を学び、時にはことばや文章を何通りも考えながら、話し手が伝えたかったことを考え表現する。その中では、自分が知っていたことやこれまでの推敲で学んだことを生かしながら、ことばや表現を考えている。ことばや表現についても、全てを変えるのではなく、話し手のこだわったことばや表現は大切にしている。こうして皆で作りあげた文章をノートに視写し、家庭で音読している。この「家庭で音読する」ことは、教室で話し合って文章をつくる時にはいない他者に文章が伝わるかを意識するきっかけになっている。この時、教師の役割は、子どもたちの話を整理し、論点を絞り、考えるポイントを整理することである。
 もう一つ大切なことは、最初の文を読んだとき、文章を検討しているときに、「何だか、変だ、スッキリしない」と感じたり、「あぁ、いいねぇ」と感じたりすることである。小さなグループで行うだけでなく、全員でより良い表現を探っていく中で、自分の気付かない視点を他者に気付かされる場面があることは、ことばの感度を高めていくことにつながるのではないかと考える。
 この学習では、2つの大きな意味があると考えている。1つは、自分たちの話題が学習材になることは、話すことや書くことといったことばの学びの動機づけになり、自己有用感につながると考える。もう1つは、実際に話し聞き、読み書きをする文脈の中で(口語)文法を理解していくことは、必要性と必然性の中で効果的に学習ができるということである。実際、子どもたちは、学んだことを良く憶えていて、エピソード記憶として発表と学びが紐ついている場面をよく見かける。
 この学習を積み重ねていくと、話し手は聴き手に伝わる工夫をするようになり、聴き手は話し手の伝えたいことをつかみ、共有しようと意識するようになる。こうした積み重ねによって、少しずつ語られることばや表現が豊かになり、自分たちの発表が学びにつながっているという意識を持ち始めている。

出典:第81回教育実際指導研究会(2018年度)発表要項 p.91

コンテンツ担当者・著者

お茶の水女子大学附属小学校 本田祐吾

論文・教材本文
第1学年「国語」学習指導案「どうあらわそうか」(2018年度 第81回教育実際指導研究会)

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  • 登録日時 2019-04-25 13:03:28
  • 更新日時 2025-10-02 19:16:27
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