「色の不思議」~なぜその色を選ぶのか?~

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概要

本題材は、中学校第一学年の美術科において既習している色彩の学習や知識をもとに展開していく。
生徒たちは、これまで色彩の学習において、色相環をはじめとした色の三属性(色相・明度・彩度)や、表現感情・固有感情を用いた色の使い方によって果たすことのできる効果や色の使い分けについてなど、主に色彩の知識的側面を中心として学んでいる。美術科における色彩の学習のねらいには、色彩の知識を理解することを通して、生徒自身が抱く思いや伝えたいことを表現することや、作品などから作者の思いを読み取るために必要であるということが根底としてある。従って、中学校第一学年で扱う色彩の学習は、表現の活動及び鑑賞の活動を主とした美術科におけるすべての学びの基盤になるものであると言える。
しかし、生徒たちが作品制作において色彩を扱う中では、単に好みの色であるという理由であったり、生徒自身が扱いやすいと考える色だということが理由であったりと、色彩に対する思考が狭い範囲で留まってしまっている姿が多く見られる。そこで本題材では、これまで生徒たちが美術科において制作した作品の中で扱われた色彩や、日常生活において使用しているものの色などを取り上げ、それらの色が生徒それぞれにとって何をもとにして決定されたのか、色彩の知識を踏まえた上でその考えや経験に向き合いながら、決まりのないものに対する考えを個々に紐解く活動を行う。この活動を通して、美術科をはじめとした表現や、創作の活動の中で色を扱う場面において、自分なりの根拠や深い思考を持って選択できる力を育むことをねらいとしている。また、色彩を扱う上での考えを相互に発表し合う活動を併せて行うことで、生徒たち同士の多様性の尊重にもつなげることをねらいとしている。このことで、特に作品の鑑賞の場などにおいて、お互いの作品の思いに対して深く読み取ることができる力を培うことにもつながると考えている。
生徒たちはこれまで、色彩の知識について興味を持ち、理解は示しているものの、現段階ではその知識が表現活動及び鑑賞活動に直接的な影響を与えるまでになれていないのも現実であると言える。美術の表現活動における色の選択、鑑賞活動における色に対する考えを深めることを通じ、あらゆる活動の中で、生徒自身がそれぞれの表現に託したり、作品に託されたりした思いを鑑賞することでその思いを感じ取ることができるよう、学習した知識によって豊かな情操を育てることにつなげたい。

コンテンツ担当者・著者

お茶の水女子大学附属中学校 桐山瞭子

論文・教材本文
H30公開研 美術科学習指導案

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  • 登録日時 2019-01-23 12:31:48
  • 更新日時 2022-11-07 14:56:16
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