第1学年「みがく」学習指導案「ききあおう」(2017年度 第80回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
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- 総合的な学習・探究の時間
- 社会情動的スキル
- てつがく
- 対話的な学び
- 校種・学年
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- 小学校
- 小1
- 校種間連携
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- 概要
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サークル対話は,低学年教育の中心的な活動の一つで,特に1年生では,朝から帰りまでの様々な場面で行われるものである。教室にベンチと牛乳パック椅子を準備し,子どもたちの手でそれを並べ,1つの輪になって座る。サークルに集まると,健康観察や学習,クラスで起きた問題について,学習の振り返りなど様々なことを話し合っている。本時で行うサークル対話は,子どもたちは「つたえる」という名称で,普段は朝行っているもので,生活の中で見つけたことや感じたこと,興味をもったことなどを語り合い,聴き合う学習活動である。4月頃は,話したいことがある子は全員発表し,一人ひとりの発表を質問がなくなるまでずっと続けた。当然,最初は熱心に聞き質問も活発だが時間もそれなりにかかり,だれてくる。その経験から子どもたちも,もう少し短くしないと大変だということに気づき,質問する人数や発表者数の試行錯誤を経て,現在は<発表6人,発表時間1人5分>に落ち着いている。
発表は,最初は「ひまわりを育てています」のような発表だった。それに対して「どこで買ったんですか」「大事に育てていますか」といった質問から,「ひまわりの種は食べたことがありますか」「相棒はいますか(4~5月に流行った)」のような質問まで,内容を深めるもの,自分が聞きたいことをきくものと様々であった。発表の後半は集中力が切れることがあったが,「友だちの話をきくこと」と,教師も積極的に質問しながら,「こういうことを聞くといい」ことを感じられるように意識してかかわった。
5月中旬から,「つたえる」で話された発表を最後に振り返る活動を始めた。思ったよりも内容は覚えていたが,まだ聞くことが苦手な子は他の子の発言で内容を思い出していたが,続けていくと発表をよく聴くようになり,内容を覚えている子が増えてきた。
5月下旬,ひらがなの学習をもくれんの「も」から始めた。Nさんが,登校途中に附属幼稚園の前に落ちていた木蓮を拾ってきて見せてくれた発表だった。子どもたちは国語のノートを開き,Nさんが拾ってきた木蓮を観察しながら思い思いに木蓮を描き,その横に大きく「もくれん」と書く。このように,サークル対話の話題から文字の学習を積み重ねていくと,もっとくわしく書きたいという想いを子どもたちがもつようになり,文章で表すようになってくる。このように「自分が話したことが文になる」ことは,子どもたちにとって書き表すことの大きな動機づけとなる。そうなると,子どもの発表が劇的に変わり,話し手は聴き手に伝える意識をもって話そうとし,聴き手も自分の経験と重ね合わせながら話を聴こうとするようになる。このように,サークル対話とその後のことばの学びを通して,話すことと書くことが同時に学ばれていき,少しずつ語られることばや表現が豊かになっていく。
この学びの原動力は,自分たちの経験や知識が生かされ,学びにつながっているという意識を子どもたちがもっていることである。また,このサークル対話はことばの学びだけでなく,プロジェクト的な学びや自然の探索など様々な学習や活動に生かされていく,教室の中心的な活動になっている。
出典:第80回教育実際指導研究会(2017年度)発表要項, p.109. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属小学校 本田祐吾
- 論文・教材本文
- 第1学年「みがく」学習指導案「ききあおう」(2017年度 第80回教育実際指導研究会)
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