国立大学法人 お茶の水女子大学附属学校園教材・論文データベース

• 算数・数学
• 探究力・活用力

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• 小２

学習指導要領では，2年生において，「乗法が用いられる場合」と「計算の意味の理解」という二つの視点が大切であると述べられている。前者の視点に関して，実際の授業では，子どもが絵だよりで書いた話をもとに九九を導入した。このことは，後者の視点にもつながる。子どもにとって生きた場面であるからこそ，子どもがそれを自分事としてとらえ，計算の意味を主体的に考えることができた。計算の意味を視覚的に理解するために，絵やアレイ図など半具体物を用いた。アレイ図を通して乗法の性質も学習した。乗法の性質を用いて，ある段の九九を別の二つの段の九九の和として表したり，簡単な場合の二位数の乗法を考えたりした。
本時の題材は，2年生の乗法の学習を終えた後のトピック的なものである。「九九を使って」とは，「九九で学んだ“何を”使って」という意味である。題材は，任意の二位数の十の位に4をかけた数にーの位を加え，それを元の二位数から引いた数を求めるというものである。10m + n - (4m + n) = 6m だから，求める数は6の段の答えとなる。いくつかの数で確かめれば，6の段になるという予想はつくだろう。そこに，「問題に取り組む際に生まれる面白さや不思議さ」があると言える。また，「その予想は本当に正しいのだろうか」という違和感をもったり，「十の位に4以外の数をかけた場合はどうなるのか?」という疑問をもったりするだろう。そうした違和感や疑問を解消するためには，すべての場合について確かめれば済む。しかし，「それ以外に確かめる方法はないだろうか」と考える子どもの姿を期待したい。これは，本時において責任をもって学ぶ意味である。例えば，問題を図で表せば，結局はーの位の数は0になり，十の位の数だけが残ることは明らかである。その際，10m - 4m = 6m ⇔ 4m + 6m = 10m から，九九で学習した「一つの段を別の二つの段の和として表せる」という乗法の性質に帰着できることに気づかせたい。

出典：第79回教育実際指導研究会（2016年度）発表要項, p.126.

お茶の水女子大学附属小学校　戸張純男