算数部会 『自分事の算数』における数学的コミュニケーション(5年次)(2025年度 第88回教育実際指導研究会)
- 教科・単元、キーワード
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- 校種間連携
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- 概要
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◆「自分事の算数」について
本校算数部では、「協働的に学ぶ姿」や「責任をもって学ぶ姿」、そして「安心して議論できる空間」といった子どもの姿や学びの空間を大切にしながら、2015年度より研究テーマを「自分事の算数」として研究を進めてきた。「自分事の算数」とそのテーマ設定の理由は下記の通りである。
「問題に主体的に関わり、よりよいものを求めて自分の考えを吟味し、責任をもって思考し続けていく」学びが展開されていく時、学んでいる算数が自分事になっていると言える。そして、このような学びを「自分事の算数」とする。
他者の考えや問題場面と関係づけながら自分の考えを吟味し、思考し続ける学びとするためには、問題に対して主体的に関わることが第一歩であると考えた。また、自分事として捉えた学びであれば、問題解決を通して学んでいる算数のよさを感得できる。このような理由から研究テーマを「自分事の算数」とし、実践を重ねてきた。2021年度からは、研究テーマを「『自分事の算数』における数学的コミュニケーション」とし、主に個の学ぶ姿に焦点を当てた研究を、他者との関わりの中での学びという視点から捉え直し、“解いて終わり”ではなく“解いて始まり”となる数学的コミュニケーションの意味や役割を考えてきた。
◆「自分事の算数」における数学的コミュニケーション と それを促す教師の役割
ある事象や問題に向き合った時、子どもたちは生活経験や学習経験と関係づけて状況や意味を捉えていくが、その捉えには個々の経験や価値観、思いが影響する。そのため、個々の捉えを共有しながら、一人ひとりにとっての問題を、皆の問題、数学の問題として定式化し、問題解決していく必要がある。その過程においては、事象や問題を理想化して条件を仮定することや必要な数量や形に着目していくような思考がなされ、説明するために「もしも…」「かりに…」といったやりとりがなされる。また、考えを検討していく際にも、もともとの事象や問題の条件と関係づけて考えを吟味していくような思考がなされ、説明するためのやりとりがなされる。このようなやりとりを、本校算数部では「自分事の算数」における数学的コミュニケーションとして捉えている。そして、数学的コミュニケーションを通して、新たな問題や考えが見出され、思考し続けていくような学びが展開されていくと考えている。
これまでの研究から、数学的コミュニケーションを促す教師の役割として“問題解決を通して、問わざるを得ない状況や自然と問いが生じる場面をつくること”や“問題場面や文脈に対する捉えを言語化しながら図や式などに表し、考えていく際の議論の拠り所をつくること”が必要であると考えた。
◆ともに探究する学びをつくる-日々の授業で大切にしたいこと-
問題に向き合う際には、まず自分でやってみたり考えたりすることを促し、その過程で生まれる面白さや不思議さ、違和感や困ったという思いを大切にしたい。そして、「こういうことかもしれない。でも…」と悩みながら、問題や自分と向き合い、考えを深めていく姿を大切にしていきたい。また、考えを聴きあう場面では、考え同士や考えと問題場面を関係づけるとともに、必要に応じて、これまでに認められてきた事柄や定義に立ち戻り、自分や自分たちの考えを吟味できるようにしたい。吟味するとは正しい答えのみを取り上げて議論することではない。結果として誤った考えでも、思いに耳を傾け、式や図等と関係づけながらそこに至る考えを理解していくことで、考えている対象への理解は深まっていく。生じた疑問や違和感を言語化し、それに向き合いながら解決を進めることは、直線的なプロセスではなく、試行錯誤を伴いながら意味を捉え直していく思考のプロセスである。さらには、一応の解決が得られた後も「いつでもこの考えが使えるか」「他の方法はないのか」「実際の場面で考えたらどうか」と取り組みや考えをふり返り、問い続けることが重要である。このようなプロセスを体験することで、問題と自分との関わり方を見つめ、理解を深め、探究する学びをつくり出すことができると考える。
そして、このような学びをつくるために、教師は子どもの生活経験や学習経験に寄り添いながら、内容そのものについての教材研究を十分に行い、問題や問いを吟味することが重要である。その際、日々の授業を連続した学びの中に位置付け、単元を通してどのような見方や考え方を大切にしていくのかを明確にしておくことが必要である。同時に、学びは構想した通りにのみ進むのではなく、子どもの様々な問いや考えによって形づくられていくものと捉え、教師はそれに寄り添い、ともに考え、迷いながら学びをつくっていく存在でありたい。そのためには、教師自身も探究する一人の人間として、子どもの言葉に丁寧に耳を傾け、様々な思いや考えを尊重しながら、ともに考えることを楽しんでいきたい。
◆今年度のまとめ
今年度の研究から、数学的コミュニケーションは、問題と自分自身との関わり方を見つめ、更新していく際の契機となることが明らかとなった。問題に出あった際、解決に至ることだけを目的とするのではなく、一応の解決後も自分や自分たちの取り組みや考えをふり返り、問い直すことで、問題の捉え方や意味づけがあみなおされ、次の探究へとつながっていく。その過程において、数学的コミュニケーションは、問題を“解く対象”から“関わり続ける対象”へと捉え直すための役割を担っていると言える。
出典:第88回教育実際指導研究会(2025年度)発表要項, p.66-69. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属小学校 河合紗由利・久下谷明・冨田京子
- 論文・教材本文
- 算数部会 『自分事の算数』における数学的コミュニケーション(5年次)(2025年度 第88回教育実際指導研究会)
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