3年「三味線ワークショップ~本格的な古典音楽に挑戦しよう」
- 教科・単元、キーワード
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- 芸術・美術・音楽・図画工作
- 主体性
- 校種・学年
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- 中学校
- 中3
- 校種間連携
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- 概要
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本題材は、外部講師とのティームティーチングにより、全学年対象に毎年実施している。本年度は、対面授業開始直後の7月に実施した。
これまで第3学年では「弾き歌い」の小唄「とんがらし」を教材としてきた。しかし、コロナ禍で歌唱活動に制限があり、講師と相談の上、本校生徒が第1学年から積み上げてきている三味線活動の経緯を踏まえ、講師が書き下ろした長唄『佃』の二部合奏を教材として新たに設定した。
長唄『佃』は、これまでに身に着けてきた、撥皮(ばちかわ)を叩くように、手首を上げておろし弦はじくバチ遣いに加え、新たに「スクイ」と左手の「ハジキ」の二つの技能を含む。この二つの技法を含む『佃』の2小節のパターン(シラブル:チャラスチャラカチャン)を克服すれば、本格的な舞台音楽である長唄の合奏が楽しめる楽曲となっている。
『佃』は、古典音楽では隅田川のシーンになると必ず登場するモチーフである。和音を使っているので音に厚みがあり、合奏の充実感も高いものと判断した。さらに、本曲は「呼吸で進める音楽」を体験ができる。つまり、指揮者不在の状態で、演奏者の「はっ」「ほっ」といった掛け声や息遣いによって合奏をつくっていく体験である。
第3学年は三味線ワークショップを第1学年から経験し、3回目となる今回が集大成となる本題材の意義を、筆者は次のようにとらえている。
・本格的な古典音楽に触れることができる。
・基本となる三味線の奏法(左手3の指までの使用、撥のスクイ、左手ハジキ)を含んだ合奏曲である。
・細棹三味線らしい掛け合いの演奏を、呼吸や掛け声によって習得していく。
・古典音楽に多く見られる、モチーフを使ったアドリブ音楽のような合奏体験ができる。
・和音を弾くことによって、重厚な三味線らしい合奏体験ができる。
三味線の古典音楽は、いわゆるパターンミュージックと同様で、習慣性の動きの中でできている。この『佃』のテーマとなる2小節を習得すれば、その他の部分は開放弦を打ったり、また、何を弾いたりしても、言わば、1+1が2ではなく何倍にもかっこよく聴こえる、まさに労少なく実りが多いのが古典の良さでもある。
家庭では楽器を用意することができないが、「エア1で弾く」と称して楽器がない状態でイメージトレーニングをすることを推奨した。イメージトレーニングは、楽器を演奏する前に行う練習として大きな効果があることが分かった。対面授業では音楽室はディスタンスを保てないため、面積の広い教室を使用した。 - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属中学校 中山由美
- 論文・教材本文
- 「三味線ワークショップ~本格的な古典音楽に挑戦しよう」
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- 更新日時 2022-11-04 07:24:25
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