芸術と科学―SSHにおける美術教育を考える―(2019年度 高校研究紀要 第65号)
- 教科・単元、キーワード
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- 芸術・美術・音楽・図画工作
- 探究力・活用力
- SSH(スーパーサイエンスハイスクール)
- 校種・学年
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- 高校
- 高1
- 高2
- 高3
- 校種間連携
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- 高等学校
- 概要
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現代の日本の学校教育では、美術は文系科目に分類されることが多く、美術系大学の入学試験において数学や理科の力を求められることは少ない。美学や美術史の研究だけなら関連が多い他教科は語学と地理歴史ぐらいかも知れないが、実際に材料を加工して何かを制作する場合には数学や理科の基礎知識が必要になることが多い。正確な造形には数学的な計算や測量技術が必要であり、材料の加工には化学的な変化の理解が必要であり、建築のような大きな造形においては物理学的な思考も必要となる。文部科学省の科学技術学術審議会は、「文化資源の保存、活用及び創造を支える科学技術の振興」の中で、科学技術による新たな文化的創造の重要性を認識しているが、美術教育における理数的要素や科学的視点はまだまだ軽視されている。平成11 年の高等学校学習指導要領において、美術の内容にコンピューターグラフィックスを含む「映像メディア表現」が加わったことで、少しだけ理数的要素が増えた。これによって美術という科目の位置づけが理系方向に修正されることを期待したが、「映像メディア表現」に高い関心を示す理系思考の生徒は、美術科より情報科に向かうので、美術系大学や美術教育系に進む生徒は、ますます文系色が濃くなってしまったように思える。しかし、高等学校の美術教育は美術の専門家を育てるためのものではない。美術的な物の見方や表現を様々な分野で活用できる人材を育てることが重要であり本質であると考えている。本校がSSH に指定されたことに応じ、美術の中の科学的側面を掘り下げることによって、総合的で理想的な学習のあり方を考察したい。
出典:2019年度 高校研究紀要 第65号, p.93-104. - コンテンツ担当者・著者
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お茶の水女子大学附属高等学校 吉村雅利
- 論文・教材本文
- 芸術と科学―SSHにおける美術教育を考える―(2019年度 高校研究紀要 第65号)
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